JSA 日本サポーター協会
JSAJSAスペシャルズインタビュー&レポート

◎それぞれのフットボール 〜神戸FCを尋ねて〜


◆それぞれのフットボール〜神戸FC〜

「ウチのチームは4位で充分。それ以上は勝つなよと選手に言ってます」。
そう語る、社団法人神戸フットボールクラブ常務理事の坪井正治氏の口調は、半分冗談のようでありながら、やや寂しげでもあった。

 5月3日快晴、僕は「神戸ダービー」を観戦するため県立明石公園陸上競技場にむかっていた。といっても冒頭の坪井氏のクルマの助手席、前日の日本代表戦(神戸ウイング)観戦のついでに、氏に誘われるままに明石へ同行したのである。

 神戸FCを含めた関西リーグの知識が全くない僕は、氏を質問攻めにした。
その答えによると、関西リーグとは各県のリーグの上位に存するリーグであり、加盟は10チーム。ほとんどは企業チームである。神戸市から参加しているのは、神戸FCとセントラル神戸の2チームであり、今日はその2チームが対戦する。よって「神戸ダービー」なのである。関西リーグの中で、神戸FCは昨年4位であったということ。この話しを聞いた時、僕は佐藤編集長が観戦した全国地域リーグ決勝大会を即連想した(メルマガ第23、25、26号参照)。関西で4位ということは、この大会に即届く位置であり、そしてこの大会で優秀な成績を収めればJFL参加もすぐそこにあるじゃないか、と思った。
 (関西リーグは上位2位までに入ると、全国大会出場可。全国大会で2位以内など諸条件をクリアすればJFL入りとなる)

 「じゃあ、もう少し頑張れば、JFLも夢じゃないですね!」
 何の事情も知らずに、すごいなぁーと思い、そんな質問をした時の氏の答えが冒頭であった。理由をあかそう。全国地域リーグ決勝大会に参加するためには、遠征費等を考えると2000万円以上の出費となる。企業のバックアップがない神戸FCにとっては、ひっくりかえっても捻出できない金額である。理由はただそれだけである。僕は何かやるせない、しかし何もできない気持ちとなり絶句してしまった。

 クルマが競技場に到着し、僕はスタジアムに入った。ゲームはもう始まっていた。驚いた。うまい。大袈裟でなく、局面の技術だけで言えば、Jリーグに劣らない。9番CFの裏を抜ける技術、ボランチ17番のフィード力、それは観ていて楽しいゲームだった。ゲームは神戸FCが2点先行し、余裕のゲーム運びだ。しかし17番のミスから失点、局面がガラリと変化する。
なるほど、Jとの違いがわかった。まずは基礎体力、やはり90分はきつい。さらに経験というか精神面、せっかく有利に進めていてもひとつのミスで精神的に追い込まれてしまう。結局ゲームは後半2点を追加した神戸FCの完勝で終わった。

 帰りのクルマで、「ちょっとヒヤヒヤでしたね。」と僕は坪井氏に聞いた。
「今日は、レギュラーが数人かけていたからね。」と氏は答える。出場停止かな?と思っていた僕に、氏は付け加える。
「土曜日のゲームだともっと辛いです。仕事で選手が集まらないのです。企業のチームではそんなことはないのですがね。」

 ちなみに現在の神戸FCには、石末(元ヴィッセル神戸)や鈴村(フットサル日本代表)も所属する真剣にサッカーに取り組んでいるクラブなのである。そんなチームであっても、仕事や金が障害となり、上を目指すことができないでいる、これが日本のクラブスポーツの現状である。

 と、くらーい話しになってしまったが、やっぱり神戸FCは素晴らしい。今、当クラブは成人のみで6チームがあり、各々のレベルでリーグ戦に参加している。入会は自由、いつでも誰でもレベルに応じたサッカーを体験できる。もちろん大人だけでなく、ジュニアのチームもあり、神戸FCのユースから育ったJ所属選手もいるそうだ。このようなクラブのある街神戸を、そしてボランティアでいながら真剣に運営をされている坪井氏を僕はうらやましく感じていた。

 明石から離れ、僕らはナビスコ杯のヴィッセル神戸vsFC東京観戦のため、神戸ユニバにむかった。そこには観戦に訪れた1万人弱の観衆がいた。しかし、ピッチ上で行われているゲームには、アクビを隠せなかった。
 「技術は負けるけど、熱さだけはウチらが上やね」。
 動かない城を見ながら、坪井氏がつぶやいた言葉に、僕はものすごい重みを感じていた。

 <番外編>

 ところで、僕はなんで「神戸ダービー」を観戦に行ったか?佐藤編集長のように酔狂な趣味のない僕の本当の目的は当然のことながら、前日の日本代表戦(神戸ウイング)であった。同時に僕の旅には必ずもうひとつの目的がある。それは地元のうまーいモノを食い、地元のおもろい人たちと話すことである。
  
■エドソン・アランテスト・ナシメント???
 5月2日、あのとんでもないゲームの観戦後、僕は前述坪井氏ご夫婦に同行させていただき、神戸FCの溜まり場であるお好み焼き屋へむかった。それは神戸FC事務所付近の住宅街に立地するなんでもない店であった。が、玄関前で驚いた。その店の名前はなんと「ペレ」なのである。そしてマスターは、神戸FCの選手。うーん、単なる「溜まり場」ではなかった。
 ペレにはKATC(神戸アスリートタウン)理事長でヴィッセル神戸ホームタウン事業部次長の加藤寛氏もいらっしゃり、加藤氏やヴィッセルのユースをコーチしている若者らと夜がふけるのも忘れて語り合った。楽しかったぞぉ。
 *神戸アスリートタウンクラブ
 <http://www.katc98.com/ >

 ところで、坪井氏の奥様が僕の奥様にこんなことを言っていたそうだ。
「ウチの主人は全然家にいないんですよ。シゴトで遅く帰宅したと思ったら、朝までKATCや神戸FCのシゴトをしている。で1時間位の仮眠で、また外出するんです。カラダ壊さなければいいんですが・・・」
 2足のワラジが大変なことは、僕も充分理解しているつもりだ。だから、多くは語れないけど、一言だけ、坪井さん、ご自愛してね。

神戸FC事務所前にて(深夜)

■KR&AC
 5月3日、神戸FCで感激し、ヴィッセル神戸で落胆した後、僕らは三ノ宮駅よりほど近い場所にあるKR&ACにむかった。
 正式名称"Kobe Regatta & Athletic Club"、そのリーフレットには"The Best Sports and Social Club in Kansai"と記載されており、文字通り外国人向けのスポーツ&社交クラブである。僕が到着した時、ちょうどグラウンド(1面のサッカーコートがある!)では、ヴィッセル神戸のユースチームが練習試合を行っていた。僕らは少し練習を見ていたが、傍を通る少年が「こんにちは!」と挨拶をしてくれた。Jのユースチームはサッカーはうまいが、礼儀が劣る等の風評が一部にあるが、彼らはそんなことはなく、実にさわやかであった。

 さて、さわやかでない中年オヤジは、2階にあるBarでBeerをたしなむことにした。ここで支配人の大内氏とお話ししながら軽く飲んだのだが、なんとBeerが380円、安い!そしてサッカーを肴に飲むビールのうまいこと!
 *KR&ACホームページ
  <http://www.krac.org>

KR&ACのBARにて KR&ACの写真

■最後のオチ
  こんな感じで最後のヴィッセルユースを含めると2日で4ゲーム観戦した僕の神戸旅行は終わりとなった。夜もふけた19:00頃、三ノ宮からバスで関空にむかい、羽田に戻ったのである。ところで、今回の行程はもちろんいつものように効率の良い安さを求めた旅であった。超割、特割等を駆使し、新幹線より安くて早い飛行機、が行程を組んだ僕のささやかな自慢であった。んが、なんと三ノ宮から関空のバスが1800円かかったのである。これならば新幹線の方が安かった・・・。相変わらず最後のツメが甘い僕であった・・・。

 
(浅野 智嗣)



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